「women」ではなく「woman's」の理由
1 不可思議なタイトル
新潟県上越市出身スリーピースロックバンド、My Hair is Badがメジャーファーストフルアルバム『woman's』を発表した。
メジャーファーストアルバムということでかなり期待がかかるが、アルバム名がかなりユニークであることが気になる。
皆さんご存知の通り英語で女性という単語の複数形は、「women」だ。しかし、椎木は、マイヘアは単数形のwomanに複数形のsを付け「woman's」にした。一体この意味とは一体なんなのだろうか。アルバムを聴きていく中で考えていきたい。
2 別れ話を描く前半
アルバムの前半では、別れてしまった過去の恋人との生活を鮮明に描く曲が並ぶ。特に“接吻とフレンド”や“グッバイ・マイマリー”では彼女の下手な料理でも美味しかったこと、一緒に安い居酒屋で酔ったこと、別に特別なんていらなかった。どんな時も君といれればただそれだけで特別でありかけがえのない事であると。理想のカップル像を歌いあげるも、そこはマイヘアだ。ハッピーエンドといくわけがなく、将来性のないぼくに愛想をつかして彼女は出て行ってしまう。そんな失恋後の回想である。
しかし、この回想というのは一度恋した人にとっては心当たりがあり、恋をした事なくともどこかで見聞きした事であるから、自分の話になるのだ。
3 冷静な一曲
回想を俯瞰するかのように「戦争を知らない大人たち」が流れる。彼女に振られ、無気力に沈み、客観的にしか世界が見えないが、一方時間というものは無情にも進んで行く様子を淡々と表現する。
4 過去を受け入れること
アルバムの後半では、今の恋人とのことを過去の恋人に届かぬ声で話しかける“恋人ができたんだ”で幕を上げる。新しい恋人がどんな人なのか、将来のこと考えているということ、なにより過去の恋人と一緒にいた時には気がつけなかったことを今更ながらに気がついたことも赤裸々にもちろん届くことはないのだが。
そして最後には“真赤”と“卒業”で畳み掛けんとばかりに過去の恋人に恋心はないけれど、愛が未だに残ってることを、忘れきれていないことを滲ませのだ。
5 「women」でなく「woman's」
アルバムを通して、なぜ「women」でなく「woman's」なのかが分かった気がする。
「women」では、女性たちという意味になり恋人一人ひとりに区別がなくなってしまう。
しかし、過去の恋人も新しい恋人も椎木にとって一人ひとりが大切で一人ひとりが別々であるから「women's」なのだろう。
woman's
1.告白
2.接吻とフレンド
3.音楽家になりたくて
4.グッバイ・マイマリー
5.戦争を知らない大人たち
6.恋人ができたんだ
7.mendo_931
8.ワーカーインザダークネス
9.革命はいつも
10.沈黙と陳列 幼少は永遠へ
11.真赤
12.卒業
13.また来年になっても
My Hair is Bad : HP