My Hair is Bad 『運命/幻』
大きな喧嘩をしたわけでも、どちらかに非があるわけでもなく好きな人との別れを迎えてしまうことがある。きっとそれは日々積み上げてきたものが一気に崩れ落ちたのだろう。
『時代をあつめて』以降、椎木は男性の目線と女性目線を恣意的に分けて曲を作るようになった。
『運命 / 幻』も同様に、カップルの別れの場面を
「運命」では、男性目線で激しく客観的に別れを描き、
「幻」では、女性目線でしっとりと主観的に別れを描いた。
男性目線では、初めて彼女と会った日と別れを悟る今日を比べる。それはいわゆる男性脳、計算高さや記憶力、空間認識能力に長けていることを暗に示しているようにも感じる。
歌詞はすべて過去形で書かれ、目の前のことを淡々と映画の鮮明にだけど客観的な視線で描写していく。
これを感情的に捉えるのであれば悟っていしまった恋人との別れを逃避するために、
自分の考えを働かせないようにあくまでも他人事のように処理氏いるのではないか。
でもふと彼女が指輪をつけていることに気がつくも怖くて聞けずに終わらせてしまう。この弱さも男の度胸のなさなのだ。
女性目線では、彼氏と歩んできた今までと彼氏の気持ちを知りたかった今日を比べる。
歌詞は彼氏に語りかけながらも自分に言い聞かせるように主観的に、別れたくないと言う気持ち描写する。
〈怒ってよ 振り向いてよ 嘘つかないで傷つけてよ〉と以前みたいに接して欲しいだけなのに黙っていたら指輪に気がつかず別れの時だと思われてしまう。指輪を付けててきたのは女性のしたたかさであり、最後の優しさ。
そして夢の中にだけいる好きだった頃の彼氏。それは、私の理想で、そしてそれはいつの間にか幻になっていた。
どうしてお互いに別れたくないのに終わりを迎えてしまうのだろうか。
それはきっとどこかで関係性が破綻しているのかもしれない。今までなら気軽に言えていたことが言えなくなっていたり、理想と現実が乖離してしてしまったりと。
出会いがあれば別れがある。しかし、『運命』の最後に歌詞のように〈いつでも終わりは何かの始まりへ〉であるのも事実だ。
『運命/幻』
1.運命
2.幻
MV
My Hair is Bad - 両A面シングル「運命 / 幻」ティザー
HP
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