つばさブログ

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「音楽業界からは、死んだバンド扱いされました。」ーードラマチックアラスカが見放題東京2019で見せた不屈のロック魂【ライブレビュー】

「音楽業界からは、死んだバンド扱いされました。」

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終演後、Voヒジカタが放った鋭くも脆い言葉はドラマチックアラスカを見に来ていたファンにとっては真摯に受け止めなくてはならない言葉であった。

 

彼らの見放題東京でのライブは、事件でありファンは知っておくべきライブだった。

 

 

 ドラマチックアラスカは、2010 年同じ高校に通うメンバーで結成された“神戸”出身のフォーピースバンドである。代表曲は、『無理無理無理』、『人間ロック』、『リダイヤル』等。

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今回彼らのライブを観たイベントは「見放題東京」いうサーキットイベントだ。

本場は大阪のイベントで、初開催は2008年からと10年以上続いており、今年の夏も19会場を用いて開催されることが決まっている。ドラマチックアラスカも2014年より出演しているイベントの東京編で今回の事件は起きた。

 

 

ドラマチックアラスカがステージに立ったのは、見放題東京のメインステージである新宿ロフトではなく、新宿RUIDOK4というキャパ350のライブハウスでのトリ前。

 

会場が暗転し、メンバーが一人ずつ入場。

メンバーが揃うと感情剥き出しの演奏が始まった。それに呼応するようにファンも思い思いに手を挙げ彼らの音楽を噛み締めていく。

 

 

MCでVo.ヒジカタが発した、「くすっぶっているバンドを見に来てくれてありがとう」という言葉にドキッとした。彼らの音楽は今の邦ロックシーンではどちらかというとマイナーな社会に対する不満、やるせいない自分への葛藤を歌う原来のロックである。そんな彼が音楽ではなく素の言葉として吐き出した。ロックバンドは自分のカッコ悪いところを音楽にし、発信することで共感を得るが、素の言葉で発せられた言葉は鬼気迫る本音であり共感よりも深い影響を与える。

 

 

その後も代表曲である『無理無理無理』、『人間ロック』を演奏していく。だが、これらの楽曲の重さが普段よりも何倍にも重く心に響いた。『無理無理無理』は、一部の状況しか知らずに誹謗中傷してくる輩を気にしてしまっている自分に対して、悩んでいないで自分の正義を突き抜けていけないことを歌う。『人間ロック』は、大人になるにつれ自我を殺して同調していかなければならないことを鍵を閉める「Lock」とし、音楽のジャンルであり生き方である「Rock」を絡め自分らしく生きることを歌う。

彼らの音楽は原来のロックであるが、邦ロックでは下火でありこの音楽をやっている彼らが受け入れらず、くすぶっているというのも自らが言うのであるのだから間違いない。だが、彼のMCが彼の曲の強度を増させたのも事実であった。自分のくすぶりを作品としてだけではなく、明確な言葉とともにライブで吐き出すことでいいライブになるのだ。

 

 

曲が終わると、更に悔しさが伝わってくる言葉を放つ。

「本家の見放題で、(2016年に)BIGCATでトリもやりました。そこに立った人はみんなZeppツアーに行きました。(同年に)東京でもLOFTでやりましたが今日ここでやっています。悔しいですけれど諦めたくないんです。」

見放題というイベントは関西バンドの登竜門であり、BIGCATで演奏したバンド、トリを飾ったアーティストというのはメジャーに羽ばたき多くがZeppツアーを行なっているのは事実だ。彼らがBIGCATでトリをした時に同じステージに立ったアーティストをあげると、My Hair is BadヤバイTシャツ屋さん、雨のパレード、打首獄門同好会である。いかに登竜門であり期待されたバンドが出演しているかが分ってもらえるだろう。

 

またドラマチックアラスカはデビュー当時から「神戸の最終兵器」と呼ばれ、KANA-BOONから始まり、THE ORAL CIGARETTESフレデリック等が続けてメジャーデビューした後には「関西の最終兵器」とまで言われるほど期待されている。だが現状としては、彼らのように羽ばたくことができず、同年代のヤバイTシャツ屋さんココロオークション、感覚ピエロに先を越されていった。

 

彼らがこのライブでここまで悔しさを吐露したのはやはり見放題というイベントであり用意されたステージに納得していないからだろう。

 

このステージの最後に演奏されたのが『TEPPEN』。

ドラマチックアラスカがまだまだこれから文字通り「TEPPEN」を、NO.1を目指していくという意思表明を音楽を通して伝えてライブは終わった。

 

 

オーディエンスからの大きな拍手で終わるかと思いきや、ライブ後に更に一言付け加えられた。

「音楽業界からは、死んだバンド扱いされました。それでも今日こんだけどの人が来てくれました。また頑張っていきます。」

ロックというものは、本来自らの生きたいように生きそれを言葉にし、音楽にし発信していくものである。だが、音楽業界はやはり資本主義の中にあり綺麗事だけでは済ませれないのも現実である。そして稼げない、ライブの動員が少ないアーティストは死んだバンドであると業界の大人たちは呼ぶのであろう。

しかし、ここで諦めたならば負けでありロックバンドではない。ライブ後にヒジカタがツイートしたように挫けてしまいそうになる日もあるようだが、ドラマチックアラスカのファンがいる限り、まだまだ諦めたくなく、勝ちたいと強く思うのだろう。

ファンも彼らに好むだけあって近しい経験、屈辱を味わっているもののまだまだ負けたくないから彼らの音楽を支持するのであり、日々を戦うのだ。

 

 

今回ヒジカタが発した言葉は見放題だから出た言葉であり、彼の言葉が曲との相乗効果をうみ感情を揺さぶられ最高なライブになった。

これからもドラマチックアラスカのロックを貫き、NO.1を目指して欲しい。

そして、このようなライブに出会うにはやはり現場にいなくては体感できないと改めて実感し、これからも現場に居続けようと強く思う。