【TOKYO CALLING】フルアルバムを持たないバンドHakubiがキャパ700人のライブハウスで、大人の期待を超えたライブ
日本最大級のサーキットイベント 「TOKYO CALLING」、3日目渋谷duoトリ前にHakubiが登場した。
Hakubiとは、2017年京都で結成されたスリーピースロックバンド。
KANA-BOONから始まった10年代中期以降の音楽を程よく取り入れながら、自分自身の弱い部分を明確にしながら、社会や大人と戦っていく歌詞が印象的である。
この日同じ会場に出たアーティストは、メジャーデビューを経験しているバンド、フルアルバムを何枚か出しているバンドばかり。
全国流通作品は3曲入りEP、1枚のみ。11月に3曲入りEPの発売が決まっているものの、フルアルバムが1枚もないHakubiがキャパ700人のライブハウスのトリ前を任されるのは異例なことである。
前のバンドが終わり前方のフロアは一気にHakubiのファンに変わる。後方はまだ余裕のある状態であったが、ライブが始まる頃には人が埋まっていた。
フロアが暗転し、「TOKYO CALLING」のジングルが鳴らされ、控室から気合を入れる声がライブハウスに響き渡り1人ずつ登場。
片桐(Vo. Gt.)は、ギターを肩にかけ自分を落ち着かせるためか二度左胸を叩き、再度音の確認をし、1曲目“サーチライト”へ。
ベースのソロから始まり、独白のような歌が続く。生きる事をやめたくなり、やらなきゃと思いながら何もできずに1日を終え、クソったれな自分に後悔する歌詞が並ぶ。
フェスやサーキットの1曲目は、盛り上がる曲という方程式を無視して、Hakubiの世界に誘う。それが一般的な流行への抵抗であり、Hakubiなりの意思表示なのだ。
MCはなく、過去曲に収録されている“辿る”、“mirror”へと続けていった。
そして、11月にリリースが決まっているEPの1曲目“午前4時、SNS”。
一般的にはリリースが決まっている曲を行う際は告知を入れるが、Hakubiは告知などせずに歌い始める。
告知をしてしまう事で、スタートから3曲で作り上げてきた、会場の緊迫感が壊れてしまうからだろう。それよりも1度のライブを完璧なものにしたかったのだろう。
5曲目、“賽は投げられた”。
大人の綺麗事は全て戯言だと一蹴するも、その分自分で自分にかせた責任は重く、やるしかないと叫ぶ。
ギターを弾く片桐は、感情剥き出しで鋭い視線は獲物を見つめる猛獣の如く狂気を感じた。
張り詰めた空気の中、片桐は、
「自分がわからなくなる。不安焦燥感。勝手に自分を期待して。勝手に潰れて。それでもやるしかない。」と語り、最後の曲“夢の続き”へ。
大人になることで周りの人が夢を諦めていく中で、自分は夢を追い続けたいと思うも上手くいかないし、やりたい事のはずなのにやらなきゃいけないと分かっていても夏休みの宿題のようにやれない自分に苛立ちを覚え、それでも夢を掴みたいという曲である。
MCの言葉や普段のTwitterでの発言をみると自らのことをそのまま曲に落とし込んだ歌詞だと考えられる。
しかし、この言葉というのは今夢を追っている人、夢を諦めきれない人にとっては真摯に向き合うべき言葉であり鼓舞してくれるのだ。
「勝手に自分を期待して。勝手に潰れて。」と話した片桐。
しかし、「TOKYO CALLING」が用意した大きなステージに潰れることなく自分たちの空気に会場を変えることができた。
会場の大きさに動じないHakubiをみるとこれからより大きくなっていくバンドだと確信できた。さらなる飛躍に期待したい。
セットリスト
1.サーチライト
2.辿る
3.mirror
4.午前4時、SNS
5.賽は投げられた
6.夢の続き
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