つばさブログ

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「夢に敗れる」ことを知っているバンド、それが"ひかりのなかに"

まだまだ希望に満ちている10代であるのに「夢に敗れる」ことを知っているバンド、それが"ひかりのなかに"である。

2017年高校の軽音部で、ヤマシタカホ (Vo. Gt .)、たけうちひより(Ba.)、ジョー(Dr.)により結成された。疾走感のあるメロディーに、若さ溢れる感情剥き出しな歌声と、10代だからこそのエネルギーを感じる。一方で歌詞は、同世代よりも一歩引いた目線でオルタナティブに日々を捉えるが、夢も恋愛も純真でど直球で気持ちがいい。
しかし、ただ猪突猛進に勢いだけでなく、彼女らは「夢に敗れる」ことを知っているのが強さだ。

一曲目「冴えない僕らに灯火を」では、疾走感とともに
〈初期衝動だけで片付けられた 居場所をなくした言葉達 いつも的外れな説教をする 夢をなくした大人達〉という歌詞から始まる。
おそらく彼女らの実体験をもとにして描かれているのだろうが、バンドでの夢を叶えたいと言っても初期衝動だけでは続きやしないと、説教をする夢をなくした身の回りの大人たちを描く。これは幾つになろうとも夢を追い続ける人には付きものの煩い大人である。
そして高校生という彼女らの弱い立場を考えれば、自らまだ生計を立てることが難しく大人に耳を傾けざる状況が目に浮かぶ。
だが、彼女らは大人達をただ敵視するわけではなく、夢をなくした行末として捉えているのが皮肉であり、反面教師のように見ているのがおもしろい。
また五曲目の「舞台裏」では、〈夢なんか叶わないな そう言ってくれたあのロックバンドは もう姿を消したんだ〉と好きだったバンドがいなくなってしまったことを正面から受け止めている。日本のロックバンドは流行り廃りに揉まれ、メインで居続けるには大衆性を帯びていた方が有利。「夢なんか叶わないな」よりも「夢はきっと叶う」と言った方が受け入れやすいのは自明だ。それでも「夢なんか叶わないな」を選ぶのが彼女らのロックなのだろう。




初期衝動は、間違いなく一番エネルギーが濃縮された時である。しかし、大人たちが一番煩い時期。辞めさせるなら早いうちがいいという無駄な老婆心からだろう。一方で、彼女らも夢は絶対に叶うわけでも、誰であっても叶うわけではないという事が歌詞から伝わってくる。
初期衝動は余計なことを考えずに突き抜けていた方がかっこいいが、一歩引いてどこかで叶わなかった人がいることを知っているというのは、知らないよりも一つ夢を叶えきりたいという気持ちを強固にしてくれる。
"ひかりのなかに"には大人に抗い、自分たちのロックを貫いてほしい。

https://youtu.be/IyfDHig6RH4


ひかりのなかに (@Hikar_nkn) on Twitter

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